まず原則カナダで仕事を見つけて働くためには「ワークパーミット(就労許可証)」が必要となります。通常ワークパーミットを取得するには雇用主からのジョブオファーとHRSDC(カナダ人材技能開発省)からの承認(通称:LMIA/Labour Market Impact Assessment)が必要です。ジョブオファーを貰うには、実際の仕事ぶりを評価してもらうか、実際の仕事ぶりを見ていなくても雇用主が欲しいと思ってくれるような高度なスキルを持っている必要があり、取得はなかなか困難を極めます。
しかし、ワーキングホリデーでカナダに入国する方はこの様な手続き無しに、入国すると同時にワークパーミットが発給されるため、海外で仕事をしてみたい方にとっては貴重で大変便利なのです。
ワークパーミットを所持していればSIN番号(Sorcial Insurance Number)と呼ばれる「社会保障番号」を取得する事が出来ます。税金や保険は全てこの番号で管理されていて、SIN番号を取得する事で合法的に就労の権利がある事の証明となり、給与の受け取りや所得税などの処理が可能となります。
余談ですが、ワークパーミットは就労許可証(一定期間仕事をしながらカナダに滞在を可能にする許可証)であり、渡航許可証ではありません。
現在日本国籍の方がカナダに渡航するにはeTAと呼ばれる電子渡航認証で承認を得る必要があります。そのため日本国籍の方はワーキングホリデーの申請時にワークパーミットの引換書類と同時にeTA承認番号(渡航許可番号)が付与されパスポートに情報として登録されます。eTAで承認を得る事で渡航が可能で、ワークパーミットで就労しながらの滞在を可能にすると記憶しておいてください。eTAとワークパーミットは基本セットです。
ちなみに、カナダでは「ビザ = パーミット」ではありません。どちらかと言えば「ビザ ≒ eTA」、「ビザ ≠ パーミット」の方がイメージ的には近く、ビザとパーミットは別な物と考える必要がありますのでご注意下さい。
SIN番号(Sorcial Insurance Number)の取得方法
SIN番号を取得するには直接最寄りの「Service Canada」の窓口で申請をするか、郵送で取得するかの2パターンがあります。
- 最寄りの窓口で申請する
まずカナダ政府のサイト内にあるService Canadaのオフィス検索で最寄りの窓口を確認します。申請可能時間にパスポート・ワークパーミット(就労許可証)・住所を持って申請をしに行きます。パスポートとワークパーミットは原本が必要です。2014年4月以降は郵送で送られていたプラスティックのSINカードは廃止されていて、窓口で発行されるSIN番号が記載された書類のみとなりました。そのため住所はユースホステルなどの仮住所でも可能ですが住所が分かるように準備をして行きましょう。ただし、ごくまれに窓口で書類を発行出来ない場合があり、その場合は郵送になりますので郵送物が受け取れる住所が必要になります。
自分自身が個人で申請しに行くときは申請書の事前記入は不要です。料金はかかりません。 - 郵送で申請する
お家からService Canadaのオフィスが100㎞以上離れていて、直接申請しに行く事が難しい場合のみ郵送での申請が出来ます。
ご自身が郵送申請の対象者である事を確認をされる場合は、カナダ政府サイト内(servicecanada.gc.ca)にて郵便番号で調べるか、Service Canada(1-800-206-7218)へ電話で直接ご確認ください。
郵送の際にはパスポート・就労許可証・申請書(全てオリジナル)を以下の住所に送ります。
Service Canada Social Insurance Registration Office
PO Box 7000
Bathurst NB E2A 4T1
CANADA
パスポートと就労許可証はSIN番号の書類と一緒に返送される事になっています。しかし、カナダの郵便事情はあまり良いとは言えず、紛失事故がある場合があります。そのため、出来る限り郵送は使わずService Canadaのオフィスに直接申請しに行く事をおすすめします。
就職活動をするためにはまず何をするのか
ワークパーミットとSIN番号が準備できたら、まずはレジュメと言われる履歴書を作成します。面接の際に持参することもあれば事前に郵送して下さいと言われることもあります。また、自分の足で仕事を探す場合にはこのレジュメを配ります。
レジュメですが、その役割や形式など日本の履歴書とは異なる部分が多く存在し、どちらかと言えば日本の職務経歴書に近い役割を担っています。以下に主に異なる点をいくつかご紹介します。
- 決まったフォーマットは無し(書式自由)
- 年齢・国籍・性別の記入は不要、写真も必要無し
- 自分の経歴や強み、アピールしたいポイントなどを自分の言葉で分かり易くまとめる。
- カバーレターと呼ばれる自己プロフィール書面を一緒に添付する
レジュメでは希望職種や働ける期間、希望職種や職歴・学歴、資格に特技など、応募先に有益な情報を分かり易く簡潔にまとめる事が重要です。また文末に推薦者(以前の職場があればそこの上司や学校の先生など)を通常2人、多くて3人の名前や連絡先を記載します。
カバーレターはレジュメの表紙にあたるもので、採用担当者が一番最初に目にするものになります。カバーレターで興味を引かれなければレジュメにすら目を通してもらえません。そのため大変重要です。履歴書を提出する目的や応募者のスキルなどの自己アピールを盛り込み採用担当者がレジュメを見たくなるような内容にする必要があります。どんなに素敵なレジュメを作ってもカバーレターからにじみ出る人柄で不採用になってしまう事もあるぐらい、カバーレターを制する者が就職を制すと言っても過言ではありません。自己アピールが出来る事が重要視されているカナダならではと言うことでしょうか。
仕事の探し方は大きく分けて3つ
- クラシファイド(classified)
新聞や雑誌、インターネットとその媒体は様々です。基本的にクラシファイドと言う掲示板やページに求人情報が掲載されています。また媒体や運営会社によっては求人情報だけではなく賃貸情報や様々な種類の売買情報が掲載されているものもあります。お勧めインターネットクラシファイドサイト
- craigslist(クレイグスリスト)
カナダで一番有名なクラシファイドサイト。カナダだけではなく世界中の都市における仕事情報・賃貸情報などを掲載しています。カナダ全土の雇用主が利用しているため、求人数は最大級。英語サイトのみなので英語が堪能な方向け。 - Job Bank
カナダ政府が運営するサイト。求人数が多く、地域・雇用形態・職種などを指定して探す事ができます。 - JPカナダ
カナダにいる日本人は一度は見た事があると言っても過言ではない程有名な日本語サイト。カナダ全土の中でも主にバンクーバーの情報に特化しています。仕事情報・賃貸情報・その他の売買、海外送金や情報交換などを2チャンネル形式で掲載。 - e-Maple
こちらもJPカナダ同様に有名な日本語サイト。主にトロントの情報に特化しています。 - 人材カナダ
仕事探し専門の日本語サイト。日本語で入力するだけで簡単にレジュメ(履歴書)の作成が出来るツールが有名。
- craigslist(クレイグスリスト)
- 自分の足で探す
そのままの意味で、自分の足でショップやレストランなどを廻りレジュメ(履歴書)を配り歩く方法です。店頭などに「Hiring(求人)」が出ていれば尚良しですが、出ていなくても探そうと思っていた場合や熱意で採用されるなんて場合などもあるのでとにかく根気強く配り歩くのをお勧めします。 - 友人からの紹介
友人が帰国するタイミングで自分のポジションを紹介してくれたり、知り合いのオーナーさんに頼んでくれたりとコネを使った就職はカナダではよくあります。かなり使える手段ですので、普段から人脈作りを大切に。
カナダの求人はいつ頃が多いか
カナダのベストシーズンは全般的に「夏」の事が多いです。そのため、ベストシーズンには観光客も増える事から必然的に求人も増えます。また、逆に「冬」は観光客も減る傾向にあるので求人が減ると考えられます。一般的に求人はワンシーズン前の始めから求人を出す事が多いので、夏の求人であれば春先、冬の求人であれば秋口です。ただし長期育成を目的とした求人や人気のある職種(ウィンタースポーツ関連の仕事)などは2シーズン前から求人を始める場合もあります。特に人気のある職種の場合はクラシファイドに掲載が始まったら直ぐに面接のアポイントを取らないと埋まってしまうぐらい競争率が高いので、早い段階から定期的にクラシファイドを確認しておく事をおすすめします。
また、語学力に自信が無い方は渡航の時期にも注意が必要です。例えば、語学学校に数カ月通って英語力を付けてから就職活動をしたいのであれば夏の求人が春先に始まるとすれば、春先に渡航したのでは夏の求人申し込みには間に合いません。この場合は、冬の時期に渡航をして春先の求人に備える方が効率的。冬の求人に備えるのであれば、夏に。人気のウィンタースポーツ関連の仕事であれば春先の渡航がおすすめです。ある程度語学に自信があり、学校に行っても英語でのコミュニケーションに慣れるため、人脈作りの為に1カ月程度で直ぐに就職活動が出来る状況で自分のタイミングで渡航が出来る事を考えれば、事前の英語学習がどれだけ自身のワーホリに影響するのかをお気づき頂けると思います。もちろん就職はタイミングもあるので、求人の少ない時期であっても決まる人は決まります。求人の多い少ないに関係なく自分の好きなタイミングで行きたいのであればそれはそれでいいと思います。ただし、カナダでの就職にはほとんどの場合、それなりの英語力が必須になる事は肝に銘じておいて下さい。